波動光応用研究室

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考続至創造 考え,考え,考え続けよ.

Optical coherence microscope system

光コムを用いた計測法

「光コム」とは,周波数が等間隔に異なる多数の光波が一つに合わさった光です.そのスペクトルは等間隔な多数の周波数ピークから成り,まるで「櫛=comb」のような形をしているので光コム(Optical frequency comb)と呼ばれています.
本研究では,位相変調器型のEO(electro-optics)光コム装置を導入した新しい干渉計測法(形状計測,測長,断層撮像,OCTへの適用)を提案しています(崔研)

The principle of optical comb interferometry

光コムを導入した干渉計では,以下の様に従来には無かった特長が得られます.
・最高20 MHzの高速センシング
⇒光コム間隔をRF信号で変調することで非常に高速な計測が実現
・広い測定範囲でnm(ナノメートル)精度
⇒位相計測によって広範囲をカバーしながらナノメートル精度を達成
・多波長性を利用した測定範囲の拡張
⇒高次の干渉ピークによって共通光路干渉計などで測定範囲を数倍に拡張可能 
・掃引の全電子化
⇒干渉計の機械的掃引が必要ないので低ノイズで高速な計測が可能

Results of surface profile measurement of a 10yen coin

また,光コムの高速な周波数間隔の変調を利用して,1~20 MHzのスキャンレートで過渡的な変位を断層構造と共に捉えることができます.本研究に関する新技術説明会動画はこちら

振動するガラス板(厚さ120μm)の計測結果(A)スピーカに印加した音波とマイク波形、(B)検出された表と裏面の位相変化、(C)断層位置と位相変化の合成タイムラプス画像(横軸が経過時間、縦軸が深さ方向の位置、画像の明度が反射光の強さ、色相が位相を表す)

光断層撮像装置(OCT&M)

生体組織や透明薄膜などの断層像を非侵襲で得ることができる技術を光コヒーレンストモグラフィ(Optical coherence tomography: OCT)は生体組織や透明薄膜などの断層像を非侵襲で得ることができる技術として様々な分野で応用されています.本研究室では,長年培ったレーザ技術や干渉技術を駆使して様々なOCT装置を提案しています.例えば,無走査で2次元の断層像が一括で撮れるスキャンレス・スペクトラルドメイン(SD-)OCT(崔研)を製作しています.

従来のSD-OCTでは,広帯域光の波長の並びを光周波数軸に並び替えるリサンプリングの操作が必要です.そこで,我々は,リサンプリングの必要ない「ウェーブレット変換を用いたOCT(鈴木研)」及び「多波長逆伝播法を用いたOCT(崔研)」等,独創的な発想に基づく断層撮像装置を試作&開発しています.

多波長走査型光コヒーレンス顕微鏡(MS-OCM)で計測したマウスの皮膚の3次元OCT画像

また,多波長走査光コヒーレンス顕微鏡(Multi-frequency swept optical coherence microscope : MS-OCM)(崔研)を提案し,医工連携による研究を遂行しました.製作した装置は,高速CMOSカメラによる撮像で1秒に2×109 voxel(=pixel3)の3次元データの計測を実現し,3次元断層像の深さ分解能2.7 mmを達成しました.さらに,広視野ヘテロダイン検波法(WHIV)を導入することで,生きたモルモットの内耳振動計測に応用されました. (AMED-CRESTのページを参照

3D OCT image and vibration distribution of a guinea pig's sesnory epithelium measured by MS-OCM with WHIV technique.

広視野フルフィールド振動計測

産業分野から生体計測まで対象物の振動を計測するニーズがあります.従来のレーザ干渉計を用いた振動計測装置(レーザドップラー計など)は点計測なので,広範囲の計測にはビームの空間的な操作が必須でした.そこで,我々の提案した方法では,イメージセンサー(CCDカメラ等)を撮像素子とした空間系を用いて面の振動の振幅と位相を一括で計測できます.その際,カメラの撮像速度を超えた速い振動(10~100 kHz)を計測することができます。

43 kHzで振動するPZT素子に接着したガラス板の3次元OCT(上)と3次元振動分布(下)

低コヒーレンス干渉顕微鏡と組み合わせて,振動する物体の3次元OCTと同時に振動を計測する手法も提案しています.これらの技術を用いることで,数kHzから数100kHzの振動する物体の内部構造と振幅検出感度約10 nmで振動部位の特定が可能になります.

レーザ制御による光マニピュレーション

レーザのパルス変調による光ピンセット装置を開発しています(鈴木研).対物レンズの集光点では,光子の散乱による運動量の伝達により、マイクロメートル程度の大きさの粒子をトラップする力が生じます(光トラップ).

Laser manipulation based on the pulsation modulation with AOD

半導体レーザを音響光学偏光器AOD(acousto optic deflector)によって変調することで,顕微鏡上の微粒子の補足と移動などのマニュピレーションが可能になります.

  

光渦の生成と計測法

空間光位相変調によるホログラム的手法を用いてラゲールガウスビームを生成し,光渦(Vortex beam)を発生させることができます(崔研 ).また,高次の光渦ビーム波面の位相構造を計測する方法を開発しています.

Holographic vortex beam (VB) generation using a spatial light modulator and a phase distribution of generated VB

光渦の空間的な位相計測のために,正弦波位相変調法を導入します.この方法は,簡便な干渉的手法で正確な位相構造とトポロジカルチャージの推定が可能です.

ギガヘルツコムの広帯域化と応用

EOコム発生器をベースとしたマルチギガヘルツコムを応用する新技術を提案します.さらに,新しいOCTやレーザ計測系の実現を目指し,ギガヘルツコムのスーパーコンティニウム発生の研究を行っております.

Setup for spectral broadening of the multi-GHz comb

実験では,高非線形分散シフトファイバーに10 GHzコムの広帯域化を実現しました.

また,広帯域光コムを応用した新しい計測手法を模索・提案しています.